2013年12月20日
野生料理覚書~腸詰めってアレが詰まってるみたいだよね?~
大きなお友達の皆さん、雲黒斎です。腸詰めって製作過程がンコっぽい感じなんですよ。・・・ソーセージを作ったというお話です。
最近、大家さんがイノシシを立て続けに4頭もとってきたので冷凍庫が肉だらけだ。お陰で、イノシシを解体する手順なんかもだいたい覚えることができた。その辺の話はまたの機会にする。大家さんは内蔵をあまり利用しない。利用する部位といえば、肝臓、心臓ぐらいだ。捨てられてゆく消化器系を見ながら、アレも食べれるよなあと思い始めた。思いつくのは中身汁か腸詰めだ。中身汁は芸がないので腸詰めをやってみよう。
スデニコトキレテイルヨウダ・・・
最近、大家さんがイノシシを立て続けに4頭もとってきたので冷凍庫が肉だらけだ。お陰で、イノシシを解体する手順なんかもだいたい覚えることができた。その辺の話はまたの機会にする。大家さんは内蔵をあまり利用しない。利用する部位といえば、肝臓、心臓ぐらいだ。捨てられてゆく消化器系を見ながら、アレも食べれるよなあと思い始めた。思いつくのは中身汁か腸詰めだ。中身汁は芸がないので腸詰めをやってみよう。
スデニコトキレテイルヨウダ・・・
とりあえず、腸詰めの定番、ソーセージに使うなら小腸が良さそうだ。小腸はあんまり臭くなさそうやし。捨てられていく内臓の塊から小腸を引っ張りだしてナイフで切り取った。とりあえず中身を取り去るために、ホースの先を突っ込んで水圧で吹き飛ばす。水圧で腸が膨らんでなかなかおもしろい。
内容物は吹き飛んでしまった。別に臭くなかった。罠にかかってしばらく置かれていたらしいので、空胃だったんだろうか?
とりあえず家に持って帰って、ソーセージの作り方を調べてみた。普通手作りソーセージでは、ケーシングと呼ばれる羊の腸の塩漬け製品の中に挽き肉などを詰める。ケーシング自体、売っているもので、自分で作るということはあまりしないらしい。ケーシングはどうやって作るんだろうか?なかなか情報が見つからない。
中身汁やモツ鍋に使われる小腸は厚ぼったくて脂ものっている。よく食べるソーセージの皮とは全くの別物の様に思う。羊の腸と豚(イノシシ)の腸の違いか?いやっ、そんなことは無いだろう、と考えているうちに、一つの情報を発見。「ケーシングには粘膜基底層が利用される」らしい。
勝手に画像を拝借してしまいました。粘膜下組織(粘膜基底層)がお目当ての部分。
粘膜基底層とは俗称で、専門用語でいうと粘膜下組織と言うらしい。要は、小腸は層状構造を持っていて、粘膜下組織と言うのは、おおまかに言うと内側(本当は外側)から粘膜上皮、粘膜固有層に続き3番目の層。外側(本当は内側)から縦走筋層、輪走筋層に続き3番目の層ということになる。包丁かなんかでしごいて内側からも外側からも2枚づづ皮をはがせばいいってことだ!なんで誰もそう書いてくれないんだ!そんなに甘くないってことなのか?
とりあえず、外側を一層剥いでみる。外側には白い腸間膜がびっしりついていて邪魔だ。腸間膜ごと、外膜と縦走筋層を剥ぎ取る。ツーっとなかなか小気味の良い剥ぎ心地だ。ついでに、包丁でしごいて輪状筋層も取り除く。外側がスッキリしたので、裏返してみる。
白い部分が腸間膜。脂肪がつく所。腹腔の中では、この腸間膜によって小腸が折りたたまれているような形で収納されている。
腸間膜ごと縦走筋層を剥ぎ取る。はげるはげる。
裏返す時は、端っこをちょっと裏返して・・・
水道の水を当てると・・・
するするする・・・・
いっちょ上がり!
端をちょっと裏返して水道の水を当てると水の重みでシュルシュルクルッと裏返しになる。なんか真っ黄色できもい。この日はもう疲れたので、塩漬けにしてまた後日。
塩漬けにして冷蔵庫へ。
2,3日経って暇ができたのでケーシング作りを再開する。前回裏返してあるので、表側になっている腸の内側部分の端を包丁でしごきとっかかりを作る。こちらもスーッと気持ちよーく・・・・・ダメだ、途中で孔があいてしまう。何回かやっても10cmぐらいすると穴が空く。うーん、失敗だろうか?
もう1回試そうと思ってまだ手を付けてない逆側で試してみる。すると、スーッと気持ちよく剥ける。どうやら、うまく剥げる方向があるみたいだ。すでに解体してどちらが口側で、どちらが肛門側かわからない。次からは確認しておいたほうが良さそうだ。筋繊維の向きとかそういうのが関係しているのだろうか?
端をしごいて、剥がすときの取っ掛かりを作る。表側は、取っ掛かりが無くても、腸間膜を引っ張ればよかった。
剥いでいる途中、何か引っかかりがあって引っ張っている皮が破れてしまう。その取っ掛かりはカサブタみたいで気持ちの悪いツブツブが集まっている。よく見ると、他の場所にもこのツブツブの集まりがある。最初は寄生虫にやられた後の傷跡かなんかかな?と思っていたが、調べてみるとこの黒い粒はリンパ小節という組織らしい。集合しているので、集合リンパ小節と言うのだとか。どちらにせよキモいし邪魔なので、包丁でこそぎ落とす。
集合リンパ小節。病気かと思った。
これで粘膜上皮は取り除けたはずだが、よく観察すると、その下に薄くて脆い層がある。これが粘膜固有層だろうか?すぐちぎれて剥がすのが大変そうなので、塩を付けてもんで包丁でしごいて終わりにした。これでケーシングの完成だ!薄くて頑丈な半透明の膜が残り、ソーセージの皮に近い感じがする。多分。
早速、叩いたイノシシ肉を詰めてみた。叩いた肉は塩と砂糖をふってよく練って粘りを出す。どうやってケーシングの中に入れるか迷ったが、ストックバッグの中に入れて、バッグの端をカットし、生クリームのように押し出すという方法を使ってみた。なんとか押し込めることはできたが・・・なんか空気がいっぱい入っている。改良の必要ありだ。
包丁でひたすら叩く・・・。フードプロセッサー欲しいなー・・・
うまいこと詰める方法がわからない。無理やり詰めてみる。
あとで、専用器具があることを知る。
端を縛り等間隔にねじって形を整えていく。おっ、なんかウインナーっぽい?いい感じ?
なんとか形にはなったが・・・しかし!
最後にさくらのチップを入れたスモーカーで1時間ほどいぶす。うっすら色づいたソーセージの完成だ。いや~、えらい時間がかかった。
スモーカーに投入。
ホントはこんな感じの形にしてやるといいらしい・・
イノシシ肉は脂が少ないので、ややジューシーさにはかけるが、しっかりした噛みごたえと味はたまらない。初めての挑戦にしてはまずまずではないだろうか?この方法でソーセージが作れるとなると他の動物でも試したくなってくる。マグロ、カジキなんかでも十分応用できそうだし、ウミガメなんかも面白そうだ。
みなさんも、腸が手に入ったら試してはいかがでしょう?
内容物は吹き飛んでしまった。別に臭くなかった。罠にかかってしばらく置かれていたらしいので、空胃だったんだろうか?
とりあえず家に持って帰って、ソーセージの作り方を調べてみた。普通手作りソーセージでは、ケーシングと呼ばれる羊の腸の塩漬け製品の中に挽き肉などを詰める。ケーシング自体、売っているもので、自分で作るということはあまりしないらしい。ケーシングはどうやって作るんだろうか?なかなか情報が見つからない。
中身汁やモツ鍋に使われる小腸は厚ぼったくて脂ものっている。よく食べるソーセージの皮とは全くの別物の様に思う。羊の腸と豚(イノシシ)の腸の違いか?いやっ、そんなことは無いだろう、と考えているうちに、一つの情報を発見。「ケーシングには粘膜基底層が利用される」らしい。
勝手に画像を拝借してしまいました。粘膜下組織(粘膜基底層)がお目当ての部分。
粘膜基底層とは俗称で、専門用語でいうと粘膜下組織と言うらしい。要は、小腸は層状構造を持っていて、粘膜下組織と言うのは、おおまかに言うと内側(本当は外側)から粘膜上皮、粘膜固有層に続き3番目の層。外側(本当は内側)から縦走筋層、輪走筋層に続き3番目の層ということになる。包丁かなんかでしごいて内側からも外側からも2枚づづ皮をはがせばいいってことだ!なんで誰もそう書いてくれないんだ!そんなに甘くないってことなのか?
とりあえず、外側を一層剥いでみる。外側には白い腸間膜がびっしりついていて邪魔だ。腸間膜ごと、外膜と縦走筋層を剥ぎ取る。ツーっとなかなか小気味の良い剥ぎ心地だ。ついでに、包丁でしごいて輪状筋層も取り除く。外側がスッキリしたので、裏返してみる。
白い部分が腸間膜。脂肪がつく所。腹腔の中では、この腸間膜によって小腸が折りたたまれているような形で収納されている。
腸間膜ごと縦走筋層を剥ぎ取る。はげるはげる。
裏返す時は、端っこをちょっと裏返して・・・
水道の水を当てると・・・
するするする・・・・
いっちょ上がり!
端をちょっと裏返して水道の水を当てると水の重みでシュルシュルクルッと裏返しになる。なんか真っ黄色できもい。この日はもう疲れたので、塩漬けにしてまた後日。
塩漬けにして冷蔵庫へ。
2,3日経って暇ができたのでケーシング作りを再開する。前回裏返してあるので、表側になっている腸の内側部分の端を包丁でしごきとっかかりを作る。こちらもスーッと気持ちよーく・・・・・ダメだ、途中で孔があいてしまう。何回かやっても10cmぐらいすると穴が空く。うーん、失敗だろうか?
もう1回試そうと思ってまだ手を付けてない逆側で試してみる。すると、スーッと気持ちよく剥ける。どうやら、うまく剥げる方向があるみたいだ。すでに解体してどちらが口側で、どちらが肛門側かわからない。次からは確認しておいたほうが良さそうだ。筋繊維の向きとかそういうのが関係しているのだろうか?
端をしごいて、剥がすときの取っ掛かりを作る。表側は、取っ掛かりが無くても、腸間膜を引っ張ればよかった。
剥いでいる途中、何か引っかかりがあって引っ張っている皮が破れてしまう。その取っ掛かりはカサブタみたいで気持ちの悪いツブツブが集まっている。よく見ると、他の場所にもこのツブツブの集まりがある。最初は寄生虫にやられた後の傷跡かなんかかな?と思っていたが、調べてみるとこの黒い粒はリンパ小節という組織らしい。集合しているので、集合リンパ小節と言うのだとか。どちらにせよキモいし邪魔なので、包丁でこそぎ落とす。
集合リンパ小節。病気かと思った。
これで粘膜上皮は取り除けたはずだが、よく観察すると、その下に薄くて脆い層がある。これが粘膜固有層だろうか?すぐちぎれて剥がすのが大変そうなので、塩を付けてもんで包丁でしごいて終わりにした。これでケーシングの完成だ!薄くて頑丈な半透明の膜が残り、ソーセージの皮に近い感じがする。多分。
早速、叩いたイノシシ肉を詰めてみた。叩いた肉は塩と砂糖をふってよく練って粘りを出す。どうやってケーシングの中に入れるか迷ったが、ストックバッグの中に入れて、バッグの端をカットし、生クリームのように押し出すという方法を使ってみた。なんとか押し込めることはできたが・・・なんか空気がいっぱい入っている。改良の必要ありだ。
包丁でひたすら叩く・・・。フードプロセッサー欲しいなー・・・
うまいこと詰める方法がわからない。無理やり詰めてみる。
あとで、専用器具があることを知る。
端を縛り等間隔にねじって形を整えていく。おっ、なんかウインナーっぽい?いい感じ?
なんとか形にはなったが・・・しかし!
最後にさくらのチップを入れたスモーカーで1時間ほどいぶす。うっすら色づいたソーセージの完成だ。いや~、えらい時間がかかった。
スモーカーに投入。
ホントはこんな感じの形にしてやるといいらしい・・
イノシシ肉は脂が少ないので、ややジューシーさにはかけるが、しっかりした噛みごたえと味はたまらない。初めての挑戦にしてはまずまずではないだろうか?この方法でソーセージが作れるとなると他の動物でも試したくなってくる。マグロ、カジキなんかでも十分応用できそうだし、ウミガメなんかも面白そうだ。
みなさんも、腸が手に入ったら試してはいかがでしょう?
Posted by 植物班 at 22:33│Comments(5)
│野生料理覚書
この記事へのコメント
うらやましい。 てか食べたい!! 着払いでいいので肉送って肉!! by 求職中のhan-zo
Posted by 植物班 at 2013年12月21日 10:39
年明けぐらいに送りましょうかね。 byUKS
Posted by 植物班 at 2013年12月21日 15:40
原稿と引き替えというのもアリかもね。ふっふっふっふっふっふ byUKS
Posted by 植物班 at 2013年12月21日 15:55
りょ、了解しました。(><) by 就活予定のhan-zo
Posted by 植物班 at 2013年12月22日 10:13
腸すげー!
Posted by 栗鼠栗 at 2013年12月24日 19:07